本文へスキップします。

ここから本文です。

更新日:2025年2月19日

令和7年度施政方針

ページ下部より各PDFファイルを印刷・ダウンロードできます。

令和7年度施政方針と予算編成の概要

はじめに

令和7年第1回奄美市議会定例会が開会し、ここに一般会計及び各特別会計予算案ならびに関連議案についてご審議をお願いするにあたり、市政運営に臨む所信の一端を述べ、市民及び議員の皆様のご理解とご支援を賜りたいと存じます。

令和6年は、円安や物価高騰などの影響により経済情勢の先行きが不透明な中、奄美群島日本復帰70周年で生まれたエネルギーの余韻を受け継いで、奄美に関連する官民の各分野において、これまでの努力が実を結び、奄美全体の元気と活力に繋がった一年だったと感じております。

昨年3月には、奄美群島振興開発特別措置法が改正され、奄美と沖縄間の航路・航空路運賃の軽減や、農林水産物などの輸送コスト支援が実現するなど、民間同士の経済的及び文化的交流の基礎的条件が整備されました。

また、世界自然遺産地域として自然環境の保護に取組む中、9月には環境省が奄美大島における特定外来生物のマングース根絶を宣言しました。これは世界でも類を見ない歴史的快挙であり、根絶に携わった関係者の長年の努力に心から敬意を表します。

プロ野球界においては、奄美にゆかりのある横浜DeNAベイスターズが日本一に輝いたほか、東京都美術館で開催され、延べ28万人以上が来場した「田中一村展」が2つの主要サイトで美術ファンの選ぶ展覧会の第1位に選ばれました。

各世代の方々が多方面でご活躍されている中、特に若い世代の活躍が印象的な一年でございました。

SAGA2024国民スポーツ大会相撲競技の少年男子個人部門において、本市出身の選手が鹿児島県勢45年ぶりとなる優勝を勝ち取りました。

また、新しいキャリア教育のプログラムを開設した団体や野外シネマイベントを実現させた皆さん、さらには、本市出身の大学生が主催した高校生向けワークショップによる修学旅行メニューの提案、高校生による小学生などを対象にした寺子屋やイベントの開催など、どれも若い世代が中心となって挑戦し実現されました。

島にないものは自分たちでつくろうと躍動する若い世代の姿勢に感銘を受けるとともに、自ら挑戦する若い世代やあらゆる市民の活動を支え、連携していくことが必要であると強く感じているところです。

「しあわせの島」の実現を目指して

令和6年度は、住用・笠利地域における「地域創生戦略」の策定を進めるとともに、本定例会に上程いたしました「奄美市「未来づくり」総合戦略」の策定に取組んでまいりました。

「奄美市「未来づくり」総合戦略」は、「奄美市未来計画」の重点プロジェクトと位置付けており、最重要課題である「人口減少対策」とともに「人口減少に対応できるしまづくり」を進めてまいります。

これら戦略の達成に向け、新年度には、施策の一丁目一番地である子育て支援の充実を図るため、新たに子ども医療費の対象となるすべての子どもの窓口負担をゼロにするほか、非課税世帯の給食費無償化や保育体制の充実などに取組んでまいります。

また、市民の皆様の主体的な取組を支援していくため、「みんなのしまさばくり応援事業」を創設するとともに、新たに「しまさばくり推進室」を設置いたします。

併せて、公共施設の適正なマネジメントに向けて、新たに「公共施設マネジメント推進室」を設置するなど、「しあわせの島」の実現に向けて、行政組織の強化を図ってまいります。

「市制施行20周年」に向けて

令和8年3月20日、本市は市制施行20周年を迎えます。この間、奄美豪雨災害や相次ぐ台風、新型コロナウィルス感染症のまん延など、市民生活に大きな影響を及ぼす災害がございました。

一方で、世界的なイベントである皆既日食やLCCの就航、世界自然遺産への登録など、様々な取組が実を結び、奄美にとって大きな追い風となる中、島を誇りに思う若い世代が育ちつつあると感じております。

新年度は、これまでの本市の歩みを振り返るとともに、本市主催の記念行事の開催や民間主体のイベントを支援するなど気運醸成を図りながら、市民の皆様と共に20周年をお祝いし、将来に向けて力強く歩み出す契機としてまいりたいと存じます。

物価高騰への対応

物価高騰の影響は、市民生活や事業者の経営に大きな影響を与えていることから、市民生活を支援するため、住民税非課税世帯に対する給付金に加え、小中学校の給食費について、食材費高騰分を本市が支援することにより、保護者負担を5割程度軽減いたします。

併せて、「くらし応援ほーらしゃ券」を発行し、生活者の支援や地域経済の活性化を図ります。

事業者支援につきましては、全業種を対象に、金融機関からの運転資金の借入にかかる利子に対して新たに補助をいたします。

また、国が定める公定価格により運営を行っている高齢者施設などを対象に食材費の価格高騰分に対して一部助成してまいります。

国・県の物価高騰対策に加えて、本市独自の対策を実施することで市民生活や事業者を支援してまいります。

令和7年度予算の基本的な考え方

続きまして、令和7年度の当初予算について申し上げます。

国は、新年度予算編成の基本方針において、足元の物価高、賃金や調達価格の上昇に対応しつつ、デフレを脱却し、新たなステージとなる「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を実現することを目指して、物価上昇を上回る賃金上昇の普及・定着、地方創生2.0の起動、官民連携による投資の拡大、充実した少子化・こども政策の着実な実施など重要政策課題に必要な予算措置を講ずることとしております。

また、地方公共団体が様々な行政課題に対応し行政サービスを安定的に提供できるよう地方交付税などの一般財源総額については、前年度を上回る額が示されております。

こうした国の動向を踏まえ、本市の新年度当初予算は、一般会計において前年度当初と比較して28億378万2千円の増額、過去最高の予算額となりました。

昨今の物価上昇や賃金上昇に着実に対応したほか、引き続き、子育て支援、かせぐ力の強化や安全・安心に生活するための環境整備に関する施策の充実を図りました。

加えて、令和6年度の国の補正予算と連動した本市の令和6年度3月補正予算において、物価高騰対策・経済対策関連予算として1億9、060万7千円を計上し、補正予算と一体とした切れ目のない予算として実行することとしております。

一方、歳入面においては、自主財源である市税や普通交付税が増加傾向にあるものの、歳出面において人件費、扶助費、大型事業の償還に伴う公債費など義務的経費のほか、公共施設の維持管理や修繕などに係る経費も増加傾向にあることから、今後も引き続き、限られた財源の有効活用と財政の健全化に努めてまいりたいと存じます。

新年度に向け編成いたしました当初予算案は、一般会計349億8,647万3千円、特別会計:116億7,954万6千円、企業会計:57億7,129万6千円となり、

本市全体の予算案は、524億3,731万5千円でございます。

これより、新年度における重点施策についてご説明を申し上げます。

第1点目「市民の生活満足度向上」の実現

第1点目は、「市民の生活満足度向上」の実現についてであります。

本市ではこれまで、段階的に子ども医療費の無償化に取組んでまいりましたが、新年度からは、子ども医療費の対象を、ひとり親家庭医療費及び重度心身障害者医療費により支援していた子どもまで拡大いたします。

その上で、子育て世代へのさらなる支援策として、子ども医療費の対象となるすべての子どもについて、所得制限を設けず、医療費窓口負担ゼロを実現いたします。

また、私は市長就任以来、誰一人置き去りにしない「やさしい奄美市」実現のための「つながる相談室」や、政策実現力強化に向けた「重点政策推進監」などの設置により、市民に寄り添い、組織横断的に課題解決に取組む保健福祉行政の強化を図ってまいりました。

新年度には、市民や関係団体の皆様とともに、保健福祉施策の総合的な計画である「第2期地域福祉計画」の策定に取組み、地域ぐるみの福祉の推進に向けた気運づくりに努めてまいります。

併せて、診療所の閉院により、市民が今後の医療に対して不安を抱いていることから、新たに「奄美市医療懇話会」を設置し、大島郡医師会をはじめとする関係者の皆様方とともに、持続可能な医療のあり方についての議論を行ってまいります。

1-1 子育ての“困った”をなくそう

妊娠・出産・子育てへの支援につきましては、母子保健推進員及びはぐくみ育ち見守り隊の皆様とともに、身近に相談できる環境を整えるなど各種施策に取組み、すべてのご家庭が、安心して子どもを産み育てることができるよう、切れ目ない支援の充実を図ります。

また、初回産科受診料の助成、遠方の分娩に係る支援助成及び遠方からの受診に係る妊婦健診助成などにより、妊婦の経済的負担を軽減します。

令和6年度には「保育人材確保に向けた官民連携円卓会議」より、保育士の労働環境の改善や不足する保育人材の確保・育成に向けた提言を提出いただいたところでございます。

この提言を受けまして、保育環境の充実につきましては、全市的な保育人材の確保・育成を官民一体となって進めるとともに、新たに「私立保育施設魅力向上等実行計画交付金」を創設し、各施設の課題に応じた対策を支援いたします。

また、公立保育所におきましては、デジタル活用による保育士などの業務負担の軽減を図るとともに、新たな保育アプリの導入により、保護者の利便性の向上を図ってまいります。

併せて、安全・安心な保育の提供のため、保育施設の環境整備に取組んでまいります。

住用・笠利地区認定こども園につきましては、令和8年4月の供用開始に向けた施設整備を着実に進めるとともに、認定こども園へのスムーズな制度移行を図るため、笠利地区においては、新年度から「赤木名こども園」を設置いたします。

子育て世帯の家庭問題などの対応につきましては、児童相談所をはじめとする関係機関で構成される要保護児童対策地域協議会として、引き続き支援の強化に努めます。

1-2 健康・医療の“不安”をなくそう

市民の健康づくりにつきましては、「健康あまみ21(第2次)」に基づき、特定健診やがん検診などの各種検診の受診率向上に努め、生活習慣病の早期発見・重症化予防の取組を推進してまいります。

また、コロナ禍で明らかになった課題などを踏まえ、「奄美市新型インフルエンザ等対策行動計画」の改訂に取組んでまいります。

併せて、予防接種事業におきましては、新たに定期接種に追加される帯状疱疹ワクチンについて接種費用の一部を支援いたします。

加えて、キャッチアップ接種期間が条件付きで延長されるHPVワクチンの支援を行ってまいります。

障害福祉につきましては、安心して暮らせる地域づくりに向けて、各種サービスや相談対応の充実を通じて、それぞれのニーズに応じた支援を行うともに、障害者優先調達推進法の取組を推進してまいります。

高齢者福祉につきましては、高齢者の皆様が可能な限り住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、各種施策の推進や、安定した介護保険事業の運営に取組んでまいります。

特に認知症施策におきましては、「認知症のみなさんとゆらってまちづくり事業」をとおして、認知症の方の社会参加を促進します。

また、医療・介護・福祉分野の人材確保に向けては、関係機関と連携して「奄美市進路ガイダンス事業」を実施してまいります。

国民健康保険事業につきましては、国保税収納率及び特定健診受診率の向上に努め、安定した運営に取組んでまいります。

生活保護世帯及び永住帰国の中国残留邦人につきましては、引き続き適正な支援を行ってまいります。

自殺対策につきましては、第2期計画に基づき、ゲートキーパーなどの人材育成を充実し、その役割についても広く周知していくとともに、関係部署・機関と連携しながら自殺未遂者の支援にも取組んでまいります。

1-3 身近な生活の問題をなくそう

地域の防災・防犯体制の強化につきましては、防災・減災のための治水事業の推進や、関係機関との連携による地域防犯体制の強化に努めてまいります。

特に、本年10月には奄美豪雨災害の発生から15年を迎えることから、過去の教訓を踏まえて今後の防災に生かしていくためのシンポジウムなどを開催し、改めて市民の防災意識の向上に努めるほか、昨年に発生した能登半島地震や南海トラフ地震臨時情報などを踏まえ、各関係機関・団体・企業とのさらなる連携による防災対応力の向上を図ってまいります。

前回の更新から12年が経過している防災行政無線について、更新に向けた基本設計を実施し、安定的な防災情報の発信に努めてまいります。

台風などの荒天時における食料品の不足に対応するため、新たに「食料品ストック機能強化支援事業」を実施します。

また、引き続き、出前講座や広報紙を活用した防災関連情報発信などに取組むとともに、自主防災組織を中心とした市民の防災・減災力の向上を促進してまいります。

消防・救急体制につきましては、消防車両の計画的な更新を進めるなど、非常時対応力を確保してまいります。

上下水道事業につきましては、経営基盤の確立及び強化に向けて、中長期的な視点をもった運営の安定化に努めるとともに、耐震化対策の推進など、安全で安心な上下水道インフラの維持・充実に取組んでまいります。

道路整備につきましては、県と協力し、国道58号おがみ山バイパス整備とともに、関連する「真名津川河川改修事業」を推進してまいります。

また、三儀山線、手花部・節田線などの市道改良事業や、橋梁(きょうりょう)の安全点検及び補修を進めてまいります。

山間港山間地区につきましては、港湾メンテナンス事業により、長寿命化対策を行ってまいります。

都市公園におきましては、新たに「みんなの公園みんなで育てるプロジェクト」を開始し、公園管理への地域住民の参画や公園の利用ルールの弾力化を図るとともに、計画的に遊具などを更新してまいります。

生活空間の向上と賑わいのある中心市街地の形成に向けたまちづくりにつきましては、引き続き活性化に向けたソフト施策の展開と併せて、「末広・港土地区画整理事業」の推進と「平田土地区画整理事業」の完了に向けて取組んでまいります。

また、名瀬港マリンタウン地区におきましては、「みなとまち名瀬」の海の玄関口にふさわしい、民間活力による土地利用を進めてまいります。

併せて、中心市街地に新たな人の流れを創出することも期待される「子育て・保健・福祉複合施設」の早期整備に向けた取組を加速させるとともに、港町11番街区全体としての活用計画を推進してまいります。

住宅政策につきましては、「用途廃止市営住宅移転支援事業」を引き続き実施し、老朽化が著しい市営住宅の入居者の安全・安心を確保してまいります。

また、官民連携により設立した居住支援協議会において、住宅確保要配慮者の居住の安定に関する総合的かつ効果的な施策について協議してまいります。

空き家対策につきましては、3地区に地域おこし協力隊を配置し、不動産市場への流通の促進や空き家の適正管理に向けた「空き家解消による住環境総合対策事業」を推進してまいります。

本市においては、山裾に隣接した住宅地が数多く存在することから、新たに個人所有林などにある危険木の伐採、処分にかかる費用を一部助成してまいります。

奄美市斎場につきましては、引き続き大規模改修に取組むとともに、「奄美市斎場運営検討委員会」を設置し、今後の斎場運営について議論を行ってまいります。

航路・航空路線の維持・活性化につきましては、運賃軽減制度の拡充及び全路線の安定化などに向けて、引き続き関係機関と連携した取組を進めてまいります。

また、離島割引の対象外である県外の航空路線につきましては、利用促進及び路線維持を目的として、市民を対象に旅費の一部を助成してまいります。

地域公共交通につきましては、持続可能な交通体系の構築に向けて、新たに策定する「奄美大島地域公共交通計画」に基づき、コミュニティバスや公共ライドシェア(自家用有償旅客運送)の運行などに取組んでまいります。

第2点目「成長の源泉となる元気な経済活動」の実現

第2点目は、「成長の源泉となる元気な経済活動」の実現についてであります。

企業・事業者の皆様の活発な経済活動を促進するためには、官民が連携し、労働力の確保や働く環境の改善、起業や兼業・副業などにチャレンジできる環境の整備が重要と認識しております。

新年度は、地域資源を生かした取組を促進するため、民間事業者の初期投資を支援する「ローカル10,000プロジェクト事業」を進めてまいります。

また、創業・事業拡大を行う事業者に対して、金融機関を通じ、イニシャルコストを支援する「稼ぐ力の向上に向けた創業・事業拡大支援事業」を実施し、本市の成長の源泉となる、元気な経済活動の実現に努めてまいります。

2-1 しまで働く人をふやそう

本市において働き手不足が課題となっていることから、新たに潜在的労働力の掘り起こしを図るため、事業者向けに業務の細分化による雇用機会の創出に向けたセミナーを行ってまいります。

併せて、市内事業者における働き手確保のため、「人材確保・就職支援事業」を実施してまいります。

加えて、WorkStyle Labなどを拠点に、情報通信技術の習得や地域企業のDXの取組を支援するほか、「フリーランスが最も働きやすい島化計画」を第3ステージへ移行し、フリーランスや起業を目指す人材を支援してまいります。

さらに、企業立地支援制度を拡充し、本市産業の振興と雇用の増大を図ってまいります。

農業の担い手確保・育成につきましては、農業研修事業を実施するとともに、新規就農者に対する経営開始資金や営農用ハウス整備の支援に取組んでまいります。

水産業の担い手確保・育成につきましては、「漁業担い手育成支援事業」を実施し、後継者の確保・育成を図ってまいります。

2-2 しまの「しごと」を応援しよう

観光の振興につきましては、DMO(一般社団法人あまみ大島観光物産連盟)への支援を強化し、観光客の満足度向上や観光消費額、滞在日数、リピーター率などの増加に取組みます。

また、新たに、土盛海岸やマングローブパークの周辺環境整備を推進してまいります。

市内事業者におけるデジタル技術の活用促進につきましては、事業の拡大や人材確保につながるよう、引き続き支援するとともに、関係団体や本市と連携協定を締結する企業の協力により、より良い職場環境づくりを促進してまいります。

また、地域におけるデジタル技術の普及を図るため、業務改善の成功事例を広く共有するほか、スマートフォンの利用に関する相談会も開催します。

新年度は、デジタル技術を効果的に活用することにより、地域課題の解決や業務の効率化につなげるため、AIの利活用など先端技術への対応を盛り込んだ次期「地域情報化計画」を策定してまいります。

農林水産業の振興につきましては、「食と農の総合戦略」の策定に取組み、本市ならではの一次産業の強化を図り、生産者の担い手確保、地場産農林水産物の消費拡大、観光客の増加につなげてまいります。

さとうきびの振興につきましては、生産量の確保に向けて生産者及び受託組織に支援してまいります。

タンカンにつきましては、「あまみフルーツアイランド確立事業」に取組み、新たにブランド確立推進員を配置し、農家、JA、奄美大島5市町村が連携してブランド産地の確立を推進してまいります。

畜産の振興につきましては、子牛価格の低迷が続く中、優秀な繁殖雌牛の導入を促進し、高品質な肉用牛の生産を支援していくとともに、奄美大島食肉センターの利用促進に努めながら豚肉の生産拡大を図ってまいります。

農村環境の整備につきましては、農業基盤の整備に加え、「地域計画」に基づき、関係者と連携して農地利用の最適化を進めてまいります。

古見方地区における大川ダムからの灌漑(かんがい)設備につきましては、老朽化に対応するため、整備計画の検討を行ってまいります。

林業の振興につきましては、森林環境譲与税を活用した森林環境の保全と地場産材の利用促進・啓発を図るとともに、新たな事業展開を検討してまいります。

水産業の振興につきましては、漁業に係る経費を一部支援するなど、漁業の継続的経営の安定化を促進してまいります。

また、奄美北部地域の漁業の中核施設として集荷・出荷体制を集約し機能強化に取組むため、「奄美漁協荷捌き施設機能移転事業」を支援してまいります。

笠利地区において、農林水産物を活用した特産品の開発を支援するため、笠利農村環境改善センター内に加工施設の機能を移転します。

離島の条件不利性を解消し、事業者の負担軽減を図るため、沖縄向けの移出品が対象となった「奄美群島農林水産物等輸送コスト支援事業」を活用し、支援してまいります。

地場産業の振興につきましては、一般社団法人奄美群島観光物産協会などの関係機関との連携を図るとともに、ふるさと納税の機会を活用し、特産品の充実を推進してまいります。

また、トップセールスによる特産品の情報発信と、全国の郷友会や奄美ふるさと100人応援団の皆様との連携を強化するとともに、奄美黒糖焼酎など特産品の国内外への販路拡大に取組んでまいります。

併せて友好都市である西宮市の市制施行100周年や南カリフォルニア奄美会設立50周年において、奄美の魅力を発信してまいります。

加えて、本場奄美大島紬については、「第2期本場奄美大島紬産地再生計画」に基づき、学校での着付け体験や紬の日などをとおして地域住民への紬着用機会の創出に努めるとともに、後継者育成や技術伝承を支援してまいります。

第3点目「次世代への「しまの誇り」の継承」の実現

第3点目は、「次世代への「しまの誇り」の継承」の実現についてであります。

本市未来計画にも位置づけた「なつかしい未来都市」という将来像に向かって、子どもから大人まで、全世代でしまを知る活動を活発にするとともに、世界自然遺産としてふさわしいまちとなるよう、市民全員参加で「しまさばくり」を進める環境づくりに努めてまいります。

また、住用地区及び笠利地区の「地域創生戦略」に基づき、両地区が抱える課題の解決や、各地区の魅力発揮に向けて、市民の皆様とともに取組んでまいります。

併せて、住用地区においては、住用町内小学校及び中学校の将来を見据えた学校の在り方について検討するため「住用町内学校の在り方検討委員会」を設置いたします。

3-1 しまで学ぼう しまに学ぼう

地域に根ざしたふるさと教育の推進につきましては、「ともに親しむ読書運動」や「島唄・島口・美(きょ)ら島(じま)運動」、「地域とともに花いっぱい活動」など、地域の皆様と連携した情操教育及び郷土教育の充実をとおして、子どもたちの豊かな心や郷土を愛する心の育成を図ってまいります。

学力向上につきましては、「学力向上対策・授業改善5つの方策」による授業実践、GIGAスクール構想に基づいたAIドリルやクラウド型授業支援アプリなどの活用、外国語学習におけるALTの積極的な活用などに取組んでまいります。

また、全児童生徒にタブレットを導入して5年が経過することから、今後も学習のデジタル化に対応するため、機器類を更新してまいります。

一人ひとりの心に寄り添った生徒指導・支援につきましては、奄美市生徒指導審議委員会の助言をいただきながら、「生徒指導ハンドブック」及び「第三者調査報告書」を活用した取組を各学校とともに進めてまいります。

また、不登校児童生徒が増加する中、新たに「あまみ不登校対策プロジェクト」を立ち上げ、対策に取組んでまいります。

部活動地域移行につきましては、地域座談会などを開催し、地域独自の取組を促進してまいります。

生涯学習の推進につきましては、生涯学習講座など、学びの機会の充実を図ってまいります。

自然・歴史・文化などの郷土学の推進につきましては、「奄美博物館デジタル・アーカイブ基盤整備事業」を実施し、貴重な資料の保存と活用に取組んでまいります。

スポーツ・レクリエーション活動の振興につきましては、名瀬運動公園や太陽が丘運動公園などスポーツ施設を改修するとともに、スポーツイベントなどをとおして、子どもたちがトップアスリートとふれあうことができる機会を設けてまいります。

また、教育的効果や福祉分野での活用、世代間交流などが期待される「eスポーツ」のイベントを実施いたします。

3-2 世界の宝にふさわしいしまにしよう

貴重な自然環境を保全するため、引き続き希少種の保護や外来種対策などを推進してまいります。

また、「新たな財源検討委員会」の議論を踏まえ、環境保全や観光振興に活用するための財源の導入に向けて取組んでまいります。

併せて、将来を担う高校生世代が環境学習をとおして交流拡大を図る「奄美・沖縄世界自然遺産地域交流事業」を実施いたします。

加えて、大阪・関西万博において、世界自然遺産に登録された国内5地域共同で、「共生」や「環境文化」という日本型自然保護のメッセージを、世界に向けて発信するほか、本市独自の取組として、企業版ふるさと納税を活用し、会場で3D観光PR動画を上映するなど、奄美の魅力を発信してまいります。

脱炭素の取組につきましては、「奄美市地球温暖化防止活動実行計画」に基づいて、官民一体となって推進してまいります。

3-3 みんなで「しまさばくり」をしよう

本市においては、新たに「あまみ未来会議事業」を実施し、本市未来計画の理解と推進のため、未来の担い手である若い世代を中心としたワークショップなどを開催し、学びや対話をとおして、市民の皆様の声を政策立案に反映するよう努めてまいります。

また、新たに「みんなのしまさばくり応援事業」を実施し、特に学生など若い世代への支援を拡充するほか、市制施行20周年の特別枠を設けるなど、市民の皆様がさらに「しまさばくり」に取組みやすい環境づくりを推進してまいります。

併せて、地域課題の解決や地域福祉の推進のため、新たな枠組みである「地域運営組織」の形成に向けて、ワークショップや研修会などに取組んでまいります。

移住・定住の取組につきましては、移住者用に貸し出す空き家に対して、家財道具処分費用の一部を支援してまいります。

官民連携の推進につきましては、「奄美市PPPプラットフォーム」を中心に、サウンディング手法などにより「奄美市健康体験交流施設」などの活用に取組んでまいります。

また、公共施設等総合管理計画に基づき、民間提案制度の積極的な活用により、民間活力の発揮や財政負担の軽減・最適化など公共施設マネジメントを推進してまいります。

高等教育機関との取組につきましては、包括連携協定を締結している鹿児島大学などと連携した事業やイベントの実施、調査研究などへの協力を行うとともに、奄美大島5市町村が連携した「共同キャンパス」の具体化に取組んでまいります。

また、奄美看護福祉専門学校に対する補助金を拡充し、学生の確保に向けた支援を強化してまいります。

地域間交流の推進につきましては、友好都市との連携・交流を深めるため、修学旅行で訪問する学校に対し、旅費の一部補助を行う「友好都市交流促進事業」を実施してまいります。

行政の効率化及び市民の利便性向上につきましては、「AIコクトくん」など生成AIの効果的な運用に取組んでまいります。

また、各種手続きにおけるオンライン申請やデジタル技術を活用した「やさしい窓口」などの利用促進に加え、郵便局でマイナンバーカードの更新手続きが行えるようにすることで、住民の利便性の向上を図ってまいります。

ふるさと納税につきましては、魅力ある返礼品の充実や情報発信に努めるとともに、シティプロモーションを含むPR活動の強化を図り、寄附金額の増加に向けて取組んでまいります。

また、企業版ふるさと納税につきましては、本市の掲げるプロジェクトの推進に向けて、民間企業に対し積極的に働きかけを行ってまいります。

行政情報につきましては、ユニバーサルデザインに配慮した広報紙や公式ホームページの作成・運用に努めるほか、各種SNSの一層の活用を図ります。

また、引き続き「記者懇談会」を開催し、新たな施策などを発信してまいります。

広域行政の推進につきましては、昨年3月に改正された奄振法において、制度拡充された「沖縄との連携」や、「移住の促進」などを盛り込んだ、「奄美群島成長戦略ビジョン2033」の実現に向けて奄美群島広域事務組合及び12市町村が一体となって取組んでまいります。

むすびに

新年度の市政運営における基本姿勢及び予算編成を申し述べさせていただきました。

現代は「VUCA(ブーカ)の時代」、すなわち「変動性(Volatility)」、「不確実性(Uncertainty)」、「複雑性(Complexity)」、「曖昧性(Ambiguity)」の時代といわれます。このような状況下では、常に前例のない課題に直面し、それを解決するためにはこれまでの常識にとらわれないアプローチが求められます。

サントリー創業者であり、日本の洋酒文化を切り拓いた鳥井信治郎氏は、「やってみなはれ」の挑戦心をもって未知の分野に挑み、幾多の困難を乗り越えながら、13年の歳月をかけて本格ウイスキーの誕生を成し遂げました。

行政運営には堅実さが求められる一方で、新たな取組を進める際には、「挑戦心」が必要不可欠であると考えております。

私はこれまで「対話と連携、そして挑戦」を行動指針として掲げ、市政運営に臨んでまいりました。

小さな課題を着実に解決し、その積み重ねが大きな課題の克服に繋がります。

「挑戦なくして成功なし」という思いを持って、失敗を恐れず、新たな挑戦を続けてまいります。

新年度は、本市にとって20年目の節目の年であり、私にとっても市長就任4年目を迎える年です。この新年度に向けた抱負として、「実(みのる)」という一文字を掲げたいと存じます。

就任以来、「ふれあい対話」や官民連携組織の設立を通じ、多様な主体が議論し合う場を設け、市民の皆様からいただいたご意見を活かしつつ施策を実行してまいりました。

また、令和6年7月に友好都市協定を締結した千葉県芝山町をはじめ、様々な団体や民間企業などとの連携・交流を積極的に進めてまいりました。

こうした取組は、バイオガス発電や情報通信関連企業との立地協定、公共施設等民間提案制度の実施や民間事業者によるキッズスペースの導入などの実現に至りました。

併せて、令和6年度からは、政策アドバイザーの監修により縄文時代の生活様式を活かし、官民連携して新たな観点からSDGsを発信するために「宇宿貝塚史跡公園リニューアル事業」に取組んでいます。

今後とも、官民の連携を推し進め、民間の知恵や力を生かしながら地域課題の解決に取組んでまいりたいと存じます。

今年は乙巳(きのとみ)の年です。これまでの努力や準備が実を結びはじめ、勢いを増していくことを表していると言われます。

これまで、市民の皆様や事業者、各団体がそれぞれ努力してきたことや、官民が連携して取組んできたことが、すでに実を結んだものもあれば、今まさに枝葉を広げ、実りに向けて成長しているものもあると思います。

この広がりに花が咲き、さらなる実を結ぶ一年となるよう、私自らが先頭に立ち誠実に各種施策を実行・実践していくことで、「しあわせの島」を実現してまいりますことをお誓い申し上げ、私の施政方針とさせていただきます。

施政方針(PDFファイル)

関連ページ・関連サイト

Adobe Acrobat Readerのダウンロードページへ

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要です。Adobe Acrobat Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。

お問い合わせ

総務部企画調整課

894-8555 奄美市名瀬幸町25-8

電話番号:0997-52-1111

ファックス:0997-52-1001

ページトップ