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更新日:2022年9月5日

奄美大島のいきものとネコ

奄美大島は、鹿児島から南に約380km、沖縄から北に320kmの距離にある奄美群島で最大の島です。亜熱帯海洋性の気候で、奄美市名瀬の年平均気温は21.8度、年平均降水量は2,800mmを越えます。
島の面積は712.41平方キロメートルと琵琶湖より一回り大きく、佐渡島に次いで5番目に大きい島です。

奄美大島までのアクセス大熊展望台

また、島の面積の8割以上が豊かな亜熱帯照葉樹林で覆われており、世界的に独特で重要な絶滅危惧種や固有種・固有亜種の生息・生育地となっています。

金作原

マングローブ

 

奄美大島に生息する野生動物

ケナガネズミ

ケナガネズミ(要奄美博物館許可)
(画像提供:奄美市立奄美博物館)

環境省レッドリスト

絶滅危惧1.B類

法令指定

種の保存法に基づく国内希少野生動植種
国指定天然記念物

解説

奄美大島、徳之島および沖縄島に分布。日本最大のネズミで、尾の先端が白く、褐色の普通の体毛、背中に多数の長い剛毛が生えています。
夜行性で木登りが得意です。

 

アマミトゲネズミ

アマミトゲネズミ(要博物館許可)
(画像提供:奄美市立奄美博物館)

環境省レッドリスト

絶滅危惧1B類

法令指定

種の保存法に基づく国内希少野生動植種
国指定天然記念物

解説

奄美大島のみに分布。
夜行性で、天敵のハブの攻撃から垂直にジャンプして逃げるほどジャンプ力に優れています。
名前のとおり、トゲ状の硬い毛が生えています。

 

アマミノクロウサギ

アマミノクロウサギ

環境省レッドリスト

絶滅危惧1B類

法令指定

種の保存法に基づく国内希少野生動植種
国指定特別天然記念物

解説

奄美大島と徳之島に分布。
耳や手足が短く、ウサギの仲間でもっとも原始的な姿を残し、「生きた化石」とも呼ばれています。
夜行性で、子育ては赤ちゃん専用の巣穴の中で行います。

 

ルリカケス

ルリカケス

環境省レッドリスト

 

法令指定等

国指定天然記念物
県鳥

解説

奄美大島、加計呂麻島及び請島に分布。
瑠璃色と赤褐色の彩りが美しい一方で、ある声でも鳴きます。
森林から人家周辺まで幅広い環境で見られる。

 

アマミヤマシギ

アマミヤマシギ

環境省レッドリスト

絶滅危惧2類

法令指定

種の保存法による国内希少野生動植物種

解説

奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島などに分布。
長いくちばしが特徴で日没と日の出前後によく活動します。主に地面の露出した地上で採餌します。

 

オオトラツグミ

オオトラツグミ(要博物館許可)
(画像提供:奄美市立奄美博物館)

環境省レッドリスト

絶滅危惧2類

法令指定

種の保存法に基づく国内希少野生動植物種
国指定天然記念物

解説

奄美大島のみに分布。
くすんだ黄褐色・オリーブ色で、羽軸周辺が白く、先端の黒い羽毛の斑点模様に全身覆われている。繁殖期の3~4月には早朝に「キュルリーン」、「キョロリン」とさえずる。

 

オーストンオオアカゲラ

オーストンオオアカゲラ(オス)

環境省レッドリスト

絶滅危惧2類

法令指定

種の保存法に基づく国内希少野生動植物種
国指定天然記念物

解説

奄美大島のみに分布。オスの頭部は赤い。朽ち木の中にいる甲虫等の昆虫類が主食。ドラミング(木をつつく音)は繁殖期早朝に頻度が高いものの、秋から冬にかけての昼間にも聞くことができる。

 

アマミイシカワガエル

アマミイシカワガエル

環境省レッドリスト

絶滅危惧1B類

法令指定

種の保存法に基づく国内希少野生動植種
県指定天然記念物

解説

奄美大島にのみ分布。日本で最も美しいカエルともいわれ、常緑広葉樹の自然林に覆われ、夏季にもあまり高温にならず、きれいな水が常時流れる渓流の存在が生息の必要条件。繁殖期になるとオスは高く、長く伸びる声で鳴く。

 

オットンガエル

オットンガエル

環境省レッドリスト

絶滅危惧1B類

法令指定

種の保存法に基づく国内希少野生動植種
県指定天然記念物

解説

奄美大島と加計呂麻島に分布する大型のカエル。カエルは一般的に前足の指が4本だが、本種は5本の指がある。4~10月に活動性が高く、オスは野太い声で鳴く。

 

オキナワキノボリトカゲ

オキナワキノボリトカゲ(要博物館許可)
(画像提供:奄美市立奄美博物館)

環境省レッドリスト

絶滅危惧2類

法令指定

なし

解説

奄美群島や沖縄諸島に分布。成体オスは緑色で、左右の胴側面には1本ずつ黄色の縦条がある。成体メスは緑色ないし淡褐色で、胴背面に黒褐色の横帯が3~5本並ぶ。

 

奄美大島におけるネコの影響

奄美大島には肉食の哺乳類が存在せず、毒蛇のハブを頂点とした生態系の中で様々な生物がはぐくまれてきました。
一方で、ハブはネズミを追って人家など人の生活圏にも現れ、人への咬傷被害も相次いでおり、その対策としてネコが放し飼いにされてきました。
そのため、島内ではいまでもネコは外で飼うものという認識が残っています。

外ネコ?

これまでの生態系への脅威

奄美大島では、1979年にハブと外来種のクマネズミ対策としてマングース30頭が島外から持ち込まれると、マングースは年々分布を広げるとともに、アマミノクロウサギやケナガネズミをはじめとする希少種などを襲い、在来の生態系に大きな影響を与えました。その後、環境省によるマングース防除事業によりその数は減少し、現在、希少種は回復傾向にある一方で、ノネコが希少種を含む在来生態系にとって新たな脅威となっています。

明らかになってきたネコの影響

これまで、奄美大島の森では、アマミノクロウサギやケナガネズミ、オーストンオオアカゲラ、アマミヤマシギなどの固有種・固有亜種をくわえているノネコが多数撮影・目撃されています。

奄美大島の森林内で採取したノネコの糞102個を分析した結果、9割以上から哺乳類の毛や骨が検出されています。その中でも在来の希少哺乳類の割合が高く、ケナガネズミが4割強、アマミトゲネズミが4割弱、アマミノクロウサギ(いずれも環境省レッドリスト絶滅危惧IB類)が2割弱の糞から検出されました。このほか、外来種のクマネズミも4割弱の糞から検出されています。

出現頻度

(引用:塩野﨑和美(2016)、好物は希少哺乳類 奄美大島のノネコのお話、奄美群島の自然史学 亜熱帯島嶼の生物多様性、271-289、東海大学出版部)

このように、ノネコが島内の森林で希少種をはじめとする在来種を捕食していることが明らかになっており、その影響を早急になくさなければ、在来生態系に重大な影響を与える可能性があります。

また、集落内でネコに捕食されたケナガネズミの死体が見つかるなど、森林部だけでなく集落近くでも希少種の被害が見られています。

お問い合わせ

市民環境部世界自然遺産課

894-8555 奄美市名瀬幸町25-8

電話番号:0997-52-1111

ファックス:0997-52-1001

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