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更新日:2021年12月7日
本場奄美大島紬は、1300余年の歴史を持つ高級絹織物。そのアート性は世界に類を見ない精巧な織りと染めにあるといわれています。気の遠くなるような数々の工程を経て出来上がる逸品には、太陽と大地と自然、そして人々の想いが息づいているのです。
【泥染め】 |
【テーチ木染め】 |
奄美での養蚕の歴史は古く、奈良時代からすでに手紡ぎの糸で褐色の袖が作られていたといいます。そのルーツは遠くインドに発祥したイカット(絣織り)にたどりつきます。
天智天皇のころから梅染め、桃染め技法をもとにしたテーチ木(車輪梅)染めが行われるようになり、年代とともに技法は研ぎ澄まされ、江戸時代、薩摩藩への上納品としてさらに精緻をきわめました。
本場奄美大島紬の製品はすべて一反ごとに地球のマークと本場奄美大島紬の文字が織口に織り込んであり、かつ地球印の商標が必ず貼られています。また泥染めには泥染証紙が草木泥染には草木泥染証紙が別に貼られていて、本場奄美大島紬であることを証明しています。 |
伝統的なテーチ木泥染法で染色した糸を用いて織り上げられた高級な紬です。泥染めならではの、しっとりした深みのある光沢をもち、黒の地色に薄茶がかった白絣を主体に柄模様を表しています。 |
植物藍で染めした糸を絣むしろにしてそれをテーチ木と泥染で染色したものです。地色が泥染特有の渋い黒地になり、絣柄の部分が藍色を主体に表現された上品な風格の漂う紬です。 |
テーチ木、藍以外の草や木などの天然染料で染められ、古典的な染色法に改善を重ねて染めあげたものです。 |
化学染料を使用して、色絣模様に染色したもので、色使いが自由なもので明るいモダンなものや大胆なデザインも豊富にできます。 |
無断転載禁止
協力/浜田太写真事務所
本場奄美大島紬の工程は大きく分けて9つあります。
デザインされた原図を方眼紙に描き写して、種別、糸の密度などに合わせて、図案を作る作業です。
図案に基づき、専用の台で必要な長さと本数の絹糸を揃える作業です。
揃えた絹糸がバラバラにならないように「イギス」という海藻を鍋で煮て溶いた糊を付け棹に張り、天日で十分に乾燥させ固める作業です。
締機を使って、複雑で細かな絣(かすり)模様を作る大島紬独特の作業です。図案に合わせて絹糸の絣部分を防染するため、染めない部分の絹糸を木綿糸で織り締めて絣筳を作ります。
テーチ木(和名:車輪梅)をチップ状にくだいて、大きな釜で煮て、その煮汁で絹糸を染める作業です。何度も液を替え、繰り返し揉みこみ染色すると、絹糸が赤茶色に染まります。
大島紬最大の特徴である泥染めは、テーチ木で染めた絹糸を泥田で染める作業です。泥に含まれる鉄分とテーチ木のタンニンが反応し、絹糸が赤茶色からだんだんと黒く変わっていきます。テーチ木染めと泥染めを交互に何度も繰り返すことで、大島紬特有の深みのある黒褐色に染め上げます。
織る前に最終的な糸の整理や準備をする作業です。染めた絣筳(かすりむしろ)の木綿糸をすべて取り除き、1本1本の糸へとほどき、図案のとおりに並べます。絣模様に色を付ける場合、図案に合わせて色を挿していきます。
緯糸を杼(ひ)に通して、高機(たかばた)という手織り用の機で織り上げる作業です。約7cm織るごとに経糸をゆるめ、針で糸を1本1本丁寧に絣を合わせていきます。
織り上げた本場奄美大島紬を本場奄美大島紬協同組合で検査する作業です。検査員が、長さや織り幅、絣の不揃い、色ムラなど、24項目に及ぶ厳しいチェックを行い、合格不合格を決めます。合格したものだけに商標などがつけられます。
ひとつの工程にそれぞれ別々の職人さんが携わっており、多くの手間と時間がかかっています。工程を少し違えるだけで、反物の出来上がりはまったく変わってしまいます。職人さんは長年培ってきた高度な技術をもって自分の工程を行います。
(工程写真提供:本場奄美大島紬協同組合(外部リンク))
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